PIXIV ID:88681051
风景[8]
「体が重い…」
生まれて初めて踏む土に戸惑ったような足取りで步きながら女性は小さく呟いた。
彼女が花屋として扱っていた人工花ではない、本物の命が宿る花が辺り一面に揺れている。踏んでしまわぬようにと下ばかり向いていたことふと気付き、顔を上げた。
水が煌めき流れる“川”、まっすぐな木が茂る“森”。お话の中でしか知らなかった风景が目に入る。なだらかな野の向こうには役目を终えたものが远く霞んでいる。それは船の中にいた顷には想像すら出来なかったほどに広い场所だった。
その雄大な眺めよりも更に远くにある何かを探しでもするかのように彼女は目を凝らす。
透き通った空を映した青い瞳は、より一层色を深めていた。【终】
52117042021·03·04
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